日本の教育どう思われますか(表紙に戻る)

機能不全家族について考えてみましょう。

2008年8月20日
機能不全家族

8月19日の日本経済新聞社会面に「児童虐待防止 全戸訪問促進へ指針」という見出しの記事がありました。
自治体の活動の後押しのため、今年度中に厚生労働省が指針を作成するというのです。
記事によると生後4ヶ月までの訪問では石川県が100%で最低が37%の県まであります。児童支援家庭訪問では石川県の100%から16%の県まであるのです。それをどこでも石川県なみにしようというためです。予算措置は?ですが、そうると石川県はできて他の都道府県がどうして100%にできないのかということも疑問ですが。
児童虐待の一因には「子育て」を親戚、ご近所で体験できなくなってきているということ大きいと思うので、こういうような訪問で親の相談にのるというのは効果があるでしょうね。
でも、このような訪問があっても、その家族自体が機能不全に陥っていたらどうでしょうか。強制力を持つ訪問でないと「拒否」されたりすることもあるのでは。機能不全家族の場合、親にまず問題があるのです。そして、その親にというように。虐待が受け継がれている現状があるのです。
この虐待は殴るとか、食事をさせないとか、縛り付けるとか、寒い時期に裸にするとか、などのほかに言葉によるもの、拒否するとか、など精神的なものもありますね。それらは、子供の心を傷つけてしまいます。
そして、その子が親になったときに同じようにしてしまう傾向が強いとか。
このような環境で育った人を「アダルトチルドレン」といっているとのことです。
「アダルトチルドレン」はもともとアルコール依存症の親の元で育った人のことだったようですが、現在は機能不全家族の元で成長した人全般を指すようになっているようです。
人間、程度の違いはあっても幾分かは機能不全家族をつくる要素を持っているのかもしれないですね。そして、それが大きく出るとしっかり「機能不全家族」をつくってしまうのかも。こうなると、親のカウンセリング・精神療法なども必要になるのではと思います。
斉藤学氏の著作の中に「アル中らしさ」というのがありました。最近、この「アル中らしさ」の条件ぴったりの人物と出会わしました。本人は自慢話のつもりでしょうが、「機能不全家族」そのものという感じの家族の話をしていました。一家あげて「アダルトチルドレン」なのかも。
思っているよりも「機能不全家族」の割合はもっと高いのではと考えます。モンスターペアレントも「機能不全家族」で育ち、自らも「機能不全家族」をつくっているのではと思うのです。

2008年9月17日
見える虐待と見えない虐待

1999年発刊の「こころの科学セレクション 依存と虐待」斎藤学編集 日本評論社刊 のなかにあった概念というか事象が取り上げられていました。
ある母親が勉強をしている息子に夜食にとラーメンをつくって持って行って振り向きもしない息子に「がんばって」と声を掛けたら、ドンブリごとラーメンが飛んできて、「これ以上どう頑張れというのだ」と言って、それから、母親への暴力が始まった。それで、カウンセラーのところへ母親が相談しにいって「息子を直してほしい」とかなんとかいったというのです。
編者は、母親が長年「親の期待で子供を縛る」という虐待をしてきたことにこの母親は気がついていないと書かれています。
殴る、食事をさせない、などは外部からわかりやすいですが、「親の期待で子供を縛る」というような虐待はわかりにくいですね。そして、この息子のように声を上げるのは少なくて、虐待から逃れようとせず、健気に努力しているこの方が多数であろうとも。さらに、このような親子関係が「健全」と思われている状況を嘆かれていました。
どうしてかというと、「子供は親の喜ぶ顔が見たい」という意識が根底にあるというのです。それで、親の期待に添うように努力をするわけですね。ところが、現在の親の期待する価値観は大体同一ですね。そう、「学業成績がよいこと」、それも「順番」が基本ですね。勝者はまだいいですけど、敗者が必ず出てきます。どちらに対しても虐待の可能性があるのですが、敗者の方により強く出てきます。ですから、どこかで躓いたりしたら、その中から、虐待から逃れるためにラーメンを投げつけるような子がでてくる可能性がありますね。
「子供は親の喜ぶ顔が見たい」という意識で子供が頑張るので、「親の期待」がいつの間にか「子の希望」と思い込んでしまう親もいるようです。この場合、親は虐待とは気がつかないでしょうね。
詳しくは「こころの科学セレクション 依存と虐待」を読んでみて下さい。

2008年12月2日
アルコール依存症

 11月30日のの本経済新聞「SUNDAY NIKKEI」の健康面にある「1分間人間ドック」で「アルコール依存、断酒徹底を」というのがありました。
 確かに「断酒」というのが必要だということですね。でも、アルコール依存症に至る道筋を考察している書籍を読んでみると、親もアルコール依存というのが多数いるというのです。そちらの方からの研究によると、酒を飲み始めてから、量が増えていってアルコール依存になる場合もありますが、もともとアルコール依存症的らしさを持っていて、それが元になって酒の量が増えているともいっています。
 人格形成の過程で問題があって、「アルコール依存症的体質」をしっかり身につけてしまった場合が多いと。
 時々、書かせて頂いた「機能不全家族」ですね。「機能不全家族」で育つとなりやすいとか。「機能不全家族」で育った子が大人になって家庭を持った場合、また「機能不全家族」を作り上げていっている場合が多いとね。
 「機能不全家族」で育った場合、程度の違いがありますが、「アルコール依存症的体質」であったり、「共依存」であったり、両方しっかり持っているようであったり、人格障害であったり、ほとんど問題がないこともあったりですが、「断酒」とともに「人生の棚卸し」が必要だとその関係の専門書には書かれていました。このとき、周囲の家族、友人、同僚の協力が必要です。
 「アルコール依存症的体質」とはどのようなものなのか。人付き合いが下手、怒りっぽくて、それが恨みになりやすい。それも根に持った恨みに。ウソかマコトは判らないが過去の自慢話をしたがる。権威主義、で、有名人でも知っていたらその話ばかりとか。などなどだそうです。このような性格ですと、人付き合いでへとへとになりそうですね。それで、一杯ということになるというのです。
 体質的にアルコールがダメな場合は何かにのめりこむということだそうです。仕事中毒、ギャンブル中毒、買い物中毒などなどです。こちらを「素面のアル中」というとか。
 ここでも家族環境ということが大事であるということですね。皆さん、「機能不全家族」や「共依存」についても調べてみて下さい。あまり書くと著作権に・・・になると思うのでこれぐらいにしておきます。

2008年9月21日
子供は親の背中を見て育つ

9月15日の日本経済新聞文化面「私の履歴書」で今月の筆者の野依良治氏は「男の子は父親の背中を見て育つ。」と書かれています。野依氏自身が父親の影響で自然科学の道を歩んだと書かれています。でも、野依氏の息子さんたちは自然科学の方には進まれなかった。でも、勉強を楽しんでするというのか、そういうことは背中をみて育たれたようです。
このパターンですと「女の子は母親の背中を見て巣立つ。」ということですかな。実際、子供に対する態度などにどこか似ているところが色濃く出てきますね。
どちらにせよ、「子供は親の背中を見て育つ。」ということです。ですから、夫婦仲が悪かったり、どちらか、あるいは両方が性格的に問題があったりすると、その影響は子供に降りかかってきます。特に見える虐待をされている場合は大きな悪影響を受けるでしょうね。見えない虐待でも楽しんで勉強しているわけではないと思いますので悪影響が出るでしょうね。
よく、「今時の若者は・・・」というのを聞きますが、「子供は親の背中を見て育つ。」のであり、「子供は身近な大人の背中を見て育つ。」のです。何年か前に日本ハムのダ・・・投手がパチンコ屋で喫煙しているのが見つかって問題になりましたが、あれは、親かあるいは野球部の監督、コーチ、部長のだれか、または複数が目の前で喫煙をしていた可能性が高いです。
左様、いろいろなところで子供は親や身近な大人の影響を受けているのです。

2008年1月29日
子育てには経験者の助言もほしい

1月28日の日本経済新聞教育面の「数字は語る」に「育児不安、強いほど体罰」というのが出ていました。
これは全国私立保育園連盟の2005年の調査でこのような傾向が鮮明にでたというのです。
詳しくは全国私立保育園連盟のホームページで。
どうして、「育児不安」が大きくなるのでしょうか。人間の子育ては「学習」なのです。「本能」では母乳を与えるぐらいしかできないのです。
すると、その「学習」を何時するのでしょうか。以前は3世代の大家族であったり、子だくさんなので家庭内や近所で「育児」の疑似体験があったり、経験者の助言を得やすかったりと考えられます。
ところは、現代は核家族、少子化で近所に子供がいなかったり、「学習の軽視」で学校での「家庭科」の学習ができていなかったりと悪条件がそろっていますね。
そして、偏った情報の鵜呑みや「標準値」(最近はこういわないかな)への拘り、一面的な比較(「進んでいる」とか)に対して、熟慮できなくなって焦りが出ている場合も多いようです。そして、「体罰」へと走ってしまうのでしょう。さらに、人間は育てられたように育てる傾向が強いですね。虐待を受けた親は子供を虐待してしまう確立が高いというのです。
そこで、適切な助言者と関わりやすい体制、公的相談体制の充実させ、子育て中の家族の横のつながりを構築できるように支援する必要がありますね。公共事業の前にね。全国私立保育園連盟の調査では「育児不安」も少子化の原因の一つになっているとのことです。少子化対策では、「産休」「育休」の充実は当然ですが、「育児不安」対策にも目を向ける必要があります。